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平成30年度施政方針

更新情報

平成30年三宅村議会第1回定例会の開会にあたりまして、村政の施政方針を申し述べ、議員の皆様並びに村民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

わが国の経済は、景気回復基調がすでに5年以上続き、雇用情勢も改善しているなど、この先も緩やかではありますが、順調に回復していくことが期待されています。その一方で厚生労働省の人口動態統計によると、国内人口の自然減は11年連続しており、さらに昨年の減少数は40万人を超えて過去最多となるなど、国全体での将来の担い手不足、経済活動の減退が懸念されています。

村内に目を向けますと、居住地域において高濃度火山ガスが観測されなくなってから1年以上が経過しました。雄山では都の協力により遊歩道や安全施設の整備も進められています。全国的には火山活動が活発化している兆候も見られることから、専門家の意見も伺うなど安全確保を第一としつつ、火口付近への一部立ち入りの実現に向けて準備を進め、「火山とともに生きる」ダイナミックな三宅島のエネルギーを多くの方に体感していただきたいと考えております。

特産品開発においては、帰島後に開始したパッションフルーツの栽培は順調に拡大しています。これに続く取り組みとして、三宅の温暖な気候と地形を活かして、柑橘類などの果樹の栽培事業を立ち上げるべく、昨年4月には試験植樹を実施いたしました。

さらには島ぐらし体験事業、漁業・農業における後継者育成事業、ふれあい交流事業(島コンツアー)などの人口減少対策としての移住促進及び後継者育成についても、順調に成果が出てきております。

また、都政においては、昨年12月の「東京宝島推進委員会」の提言に基づく「東京諸島」のブランド化に向けた新たな取組が始まる予定です。加えて市町村総合交付金がさらに増額されるなど、都による多摩・島しょ振興への今後一層の後押しが期待されています。

村政もこの機を捉え、都に対して、村が行う人口減少対策や産業振興策への支援を要望し、島の復興と持続的な発展につながる施策をさらに推進してまいります。

さて、このたび天皇陛下におかれましては、来年4月30日に退位され、翌5月1日から皇太子殿下が即位されることとなりました。三宅島にとっても激動の時代であった平成は、残り1年余りとなります。

「あなた(ワレ)が笑顔で暮らす島」を将来像として掲げ、平成24年度からの10年間の村政の指針として策定した第5次三宅村総合計画もまた、残すところあと4年です。誰もがこの島で生まれ育ち、あるいは新たに人生を切り開く場として、安心して心豊かに生活し、家庭を育み、年老いて良かったと思える島づくりのさらなる弾みとなるような事業の遂行に、引き続き「焦らず、弛まず」着実に取り組んでまいります。

それでは、平成30年度の行政課題への対応と主要施策について、第5次三宅村総合計画の大綱に沿って、申し述べます。

第1に「島に誇りと愛着をもつ人づくり」の「子育てへの支援」として、みやけ保育園の増築工事及びプール改修工事による保育環境の整備や新生児向けの育児支援品の配付を行うほか、引き続き子ども家庭支援センター、子育て広場及び学童クラブの運営、準要保護児童生徒就学支援、みやけキッズパスの交付、高校生の通学援助などを実施することで、安心して子育てができる環境づくりを図ってまいります。

また「魅力ある学校づくり」として、小中学校改修工事等により、教育環境の充実を進めてまいります。

さらに、島内の外部講師や団体と連携した、民話・火山・農業・観光業の調査やシーカヤック体験、伝統芸能の継承活動などの郷土学習を引き続き実施し、島を誇りに思う心と豊かな人格の形成を行うとともに、外国人補助教師の派遣や体験型英語学習施設の活用などを通じて、国際化社会への対応力を高めてまいります。

第2に「島の文化を発信する生きがいづくり」の「多様な学習機会の支援」として、引き続き三宅村文化会館や郷土資料館を軸に、ふるさと発見ディスカバー事業、三宅島の古文書の調査整理を実施し島内文化財等の保護や映画鑑賞・コンサートなどを行うことで、芸術文化振興事業を進めてまいります。

さらに、文化2年(1805年)に薬師堂に奉納されたと伝えられる板絵の保全として、害虫駆除やカビを防ぐための燻蒸・消毒を行うほか、芸能保存会への補助などの島内文化の保護を行い、文化・教養のかおる島づくりに努めます。また三宅島体育協会への補助や、全国離島交流中学生野球大会及び小学生フットサルの愛らんどリーグなどへの参加補助を実施することにより、子どもたちに多くの対外試合を経験させるとともに、他地域との交流を通して社会性や協調性の向上を図ってまいります。

第3に「支え合いコミュニティづくり」の「地域支え合いの支援」として、地域見守り事業、高齢者配食サービス、紙おむつなどの助成、心身障害者タクシー料金補助を引き続き行い、高齢者や障害者などが安心して暮らせる地域づくりを目指すとともに、社会福祉協議会など福祉関連団体に補助を行い、地域福祉の推進を目的とした福祉サービスの充実を図ります。また、ハード面では坪田福祉会館入口道路街灯設置工事、三宅村社会福祉会館敷地内整備工事などにより、施設利用者の利便性を図ってまいります。

また「健康づくりへの支援」として、引き続き母子保健事業、健康増進事業による健康診断や各種がん検診、歯科保健事業を実施するとともに、フレイル対策として新たにウォーキングマップの作製や歯周病検診などを行うことで、健康づくりや生活習慣病の予防を図り医療費を抑制するとともに、国民健康保険、介護保険及び後期高齢者医療制度の安定運営に努めてまいります。

さらに、中央診療所の人工透析や専門診療、訪問診療などを引き続き実施するとともに、X線テレビシステム等の医療環境の更新・整備やスタッフの確保など、一次医療機関としての充実を図ってまいります。

第4に「快適な暮らしづくり」の「道路の整備」として、各路線の舗装、安全施設の維持管理を実施するとともに、村道「阿古幹線」、「二富賀山線」の改修や村道坪田海岸線排水施設整備工事を行ってまいります。

次に「快適な居住環境づくり」として、村営住宅「大永井団地」「二島第二団地」の改修工事等を行い、長寿命化を図ってまいります。

次に「快適な生活環境づくり」として、ごみ・し尿の収集、クリーンセンター施設整備工事、同センター及び汚泥再生処理センターの管理運営を行い、廃棄物の適正処理を図るとともに、引き続き合併処理浄化槽設置補助を実施し、生活排水対策を推進いたします。

また、老朽化した配水管の計画的な布設替え、水道施設フェンス整備など水道施設の効率的な管理を図りながら、新たに水道施設監視システム整備の設計委託を進めることで、安定した管理体制を確保します。その他、飼い主のいない猫への不妊去勢手術を行う団体への補助も実施し、快適な生活環境づくりを進めてまいります。

さらに、火葬場については施設の適正管理に努めるとともに、新火葬場の平成31年度の供用開始に向け建設工事を実施し、残土処分場については新残土処分場建設に伴う測量設計及び用地測量等を進めてまいります。

次に「情報基盤の整備」として、IP告知システムのサーバー類の更新によりIP告知端末の新たな利活用の推進を図るとともに、引き続き島内公共施設にWi-Fi(ワイファイ)フリースポットを順次整備するなど、災害時の情報通信機能の確保や観光客などへの情報通信サービスを提供いたします。

第5に「災害に強い島づくり」の「防災対策の構築」として、新たに各地区への避難シェルターの基本設計を進めるほか、二酸化硫黄濃度常時観測などの火山ガス対策、台風や噴火災害等の襲来に備え三宅島活動火山対策避難施設の適正管理等を行ってまいります。

また、防災行政無線のデジタル化に向けた調査を行うとともに、J-ALERT受信機やスピーカー等機器の更新を実施し、住民等への情報周知を図るほか、非常用飲料水・非常食購入等災害備蓄品の計画的な整備、噴火災害避難訓練の実施及び防災のしおり再編集も進めてまいります。

さらに、各地区消防団の定期訓練を通じて消防団の錬度と意識のさらなる向上を図り、平成31年度の東京都操法大会に向けた訓練を実施するほか、防火水槽などの消防施設周辺の環境整備等により、今後想定される東南海地震や元禄型関東地震への備えとして、防災力の向上に努めてまいります。

第6に「自然と共生した産業基盤づくり」の「地域特性を生かした農林業の振興」として、認定農業者補助やその他の農業者に対する各種補助、さらに三宅島産業祭などのイベントでの農産物PRを行うとともに、八重間農業用水配水槽調査事業などを実施し、三宅島農業の振興を図ってまいります。また、緑化プロジェクト支援事業を引き続き行い、被災した森林の再生に努めてまいります。

次に「地域特性を生かした水産業の振興」として、阿古荷捌き施設新設工事、釜方天草倉庫改修工事、サザエやとこぶし放流事業などにより、三宅島漁業の振興を図ってまいります。

また、高齢化の進む農漁業者の後継者対策として、農業次世代人材投資事業による認定新規就農者への経営支援や、有休農地の再生支援事業、離島漁業再生支援事業などを実施するほか、引き続き後継者育成事業を実施し、農漁業への就業希望者を短期・長期研修という形で島内へ受け入れ、担い手の確保を行ってまいります。

次に「地域特性を生かした観光業の振興」として、エンデューロレース、海水浴場運営、老朽化した観光案内看板の更新などについても引き続き実施するとともに、新しい観光資源である巨樹・巨木に繋がる遊歩道の下草刈りや花いっぱい推進事業により、自然豊かな三宅島の魅力を高めてまいります。また、伊ヶ谷ふれあい館エアコン整備、ふるさと体験ビレッジなどの観光施設の適切な維持管理等を行います。ふるさとの湯についても、新たな源泉の配管及びポンプの整備等を進めて施設の充実を図り、村民や観光客の利用率及び利便性向上に努めてまいります。さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の気運醸成にも寄与するボルダリング大会を引き続き開催し、「スポーツクライミングの島・三宅島」を広くアピールしてまいります。

これらの観光施策を、観光協会等の関係機関と連携しながら実施することで、観光業のさらなる活性化に努めてまいります。

次に「地域に根差した商工業の振興」として、島の商工業振興の中核を担う商工会やマリンスコーレ21への補助、中小企業利子補給など、島内商工業への支援を引き続き実施いたします。

第7に「島づくりの推進のために」の「行政の健全運営と職員の資質向上」として、人事評価制度の本格的な導入や行政改革を引き続き実施するとともに、職員の自主性や発想力、提案力の向上を目標とした視察研修を実施するなど、今後の三宅村を支えていく職員の育成に取り組んでまいります。また、臨時庁舎の維持管理及び職員住宅新築工事等を行ってまいります。

次に「財政の健全運営」として、財政運営の充実強化を図るとともに、引き続き滞納整理の取り組み強化による未収債権の確保に努め、徴収率を向上させて財政基盤の充実を図ってまいります。歳出面では人件費・物件費、補助費などの経常的な経費はもとより、投資的事業についても機能品質を維持しつつコスト縮減に努めてまいります。また、各特別会計についても独立採算の原則に則り、一般会計からの繰入金を縮小するよう努めてまいります。

その他、昨年度に引き続き、ふれあい交流事業を実施し、都市住民との交流事業を推進するととともに、むらおこし推進事業において、約1週間の島ぐらし体験事業の複数回の実施、中長期滞在可能な施設の整備や空き家活用事業補助金等により島内の空き家の流通促進を行い、移住・定住人口の増加に向けて事業をより一層進めてまいります。

また、有人国境離島法に基づく事業については、航空路の運賃低廉化が実現されたところですが、これに加えて島内での創業支援、事業拡大への支援を行い、島内における雇用機会の拡充を図ってまいります。

以上、私が目指すところの行政課題への対応と主要施策です。

冒頭にも申し上げました「あなた(ワレ)が笑顔で暮らす島」の実現を目指し、最少の経費で最大の効果をあげられるよう職員一丸となって取り組んでまいります。

平成30年度の予算は、一般会計予算が45億3223万5千円、国民健康保険(事業勘定)特別会計が4億6802万円、国民健康保険(直営診療施設勘定)特別会計が4億1355万7千円、介護保険(保険事業勘定)特別会計が3億4707万4千円、簡易水道特別会計が2億1335万6千円、後期高齢者医療特別会計が9016万円、旅客自動車運送事業会計が1億1581万円となり、7会計合わせて61億8021万2千円となっております。

これらの事業を確実に実施していくためには、国や都の補助制度の積極的活用はもちろんのこと、行政運営の効率化やコスト削減努力に加え自主財源の安定確保が必要不可欠です。新年度においても村税、使用料、貸付金などの確保に引き続き努めてまいります。

最後となりましたが、今後の三宅島の復興・振興は行政のみで成し得るものではなく、議員の皆様、村民の皆様との強い連携が必要不可欠となります。議員各位をはじめ、村民の皆様からの引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針といたします。

お問い合わせ

三宅村役場臨時庁舎
〒100-1212 東京都三宅島三宅村阿古497
TEL:04994-5-0981(代表)