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平成29年度施政方針

更新情報

平成29年三宅村議会第1回定例会の開会にあたりまして、村政の施政方針を申し述べ、議員の皆様並びに村民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと存じます。

我が国の経済は、雇用・所得環境の改善が続いており、この先緩やかに回復していくことが期待されますが、昨年、英国は国民投票の結果、EUを離脱することとなり、米国ではその発言がしばしば物議を醸すドナルド・トランプ氏が大統領選に当選するなど、各地で自国の権益を最優先する排外主義が高まりつつあります。このような海外情勢の影響を受け、日本経済も国内生産や輸出などにブレーキがかかるのではないかと懸念されています。

都政では昨年、小池百合子氏が知事に就任しました。知事は公約の1つである「多摩・島しょ振興」に精力的に取り組み、三宅島も含む東京の島々を訪問しています。また各島の魅力をそれぞれの宝物として再発見し、内外に効果的にPRするため、ブランディングやマーケティングの専門家などからなる東京宝島推進委員会の設置など、「宝島プロジェクト」を開始すると発表しました。三宅島の宝は、海と山ともに手付かずに近い豊かな大自然です。昨年は幹回りが日本最大級のスダジイの発見もありました。村民の知恵と協力そして都の支援を通じてこの原石を磨き、三宅の宝物として光り輝くものとなるよう、努力してまいります。

村内においては、火山ガスについては順調に減少し、居住地で高濃度が観測されることはなく、落ち着きを保っております。また、新中央航空による空路や東海汽船による海路は共に安定した就航率が保たれており、朝獲れ鮮魚の都内への提供や観光客の計画的な利用などが可能となりました。これに加えて今後の観光客増加への寄与も期待するところです。さらに、漁業後継者育成事業の第1期生の独立、ふれあい交流事業(島コンツアー)、島暮らし体験事業などをきっかけに、島へ移住される方が出てきています。

村民念願の帰島から12年、国や東京都の支援、各団体の協力、そして村民皆様の努力により、このような明るい話題も増えてまいりましたが、防災島づくり、人材育成、産業振興、福祉・医療の充実など課題は山積しており、三宅村の復興はまだ道半ばです。

私は平成24年度に第5次三宅村総合計画を策定し、基本理念である「火山とともに生きる、新たな島づくり」と10年後の島の将来像「あなた(ワレ)が笑顔で暮らす島」の実現に向け、様々な施策を展開してまいりましたが、新年度からは、いよいよ平成33年度までの後期5ヶ年となります。誰もが、この島で生まれ育ち、あるいは新たに人生を切り開く場として、安心して心豊かに生活し、家庭を育み、年老いて良かったと思える島づくりの更なる弾みとなるような事業の遂行に、「焦らず、弛まず」着実に取り組んでまいります。

それでは、平成29年度の行政課題に対する対応と主要施策について、第5次三宅村総合計画の大綱に沿って、申し述べます。

第1に「島に誇りと愛着をもつ人づくり」の「子育てへの支援」として、新年度も引き続き子供家庭支援センターの運営、阿古福祉会館での子育て支援、学童クラブの運営、みやけキッズパス、高校生の通学援助、準要保護児童生徒就学支援などを実施するとともに、児童遊園への遊具整備を行い子供が安心して遊べる場所を提供するほか、みやけ保育園の乳幼児室の充実等施設整備に向けて実施設計・用地購入を進め、子育て支援の充実を図ってまいります。

また「魅力ある学校づくり」として、小学校校庭緑化改修工事や中学校空調機整備により、教育環境の充実を進めてまいります。
さらに、島内の外部講師や団体と連携した、民話、火山、農業、観光業の調査やシーカヤック体験、伝統芸能の継承活動などの郷土学習の実施及び外国人補助教師の派遣を引き続き実施し、島を誇りに思う心と豊かな人格の形成を行うとともに、国際化社会への対応力を高めてまいります。

第2に「島の文化を発信する生きがいづくり」の「多様な学習機会の支援」として、三宅村文化会館や郷土資料館を軸としてふるさと発見ディスカバー事業、三宅島の古文書の調査整理を実施し島内文化財等の保護や映画鑑賞・コンサートなどを引き続き行うことで、芸術文化振興事業を進めてまいります。

さらに、阿古体育館補修工事を行うほか、芸能保存会への補助などの島内文化の保護を行い、文化・教養のかおる島づくりに努めます。また三宅島体育協会への補助や、離島交流野球大会及びサッカーのアイランドリーグなどへの参加補助を実施し、子どもたちに多くの対外試合を経験させるとともに、他地域との交流を通して社会性や協調性の向上を図ってまいります。

第3に「支えあいコミュニティづくり」の「地域支え合いの支援」として、高齢者地域サロン活動支援事業や高齢者福祉計画策定を実施するとともに地域見守り事業、高齢者配食サービス、紙おむつなど助成、心身障害者タクシー料金補助を引き続き行い、高齢者や障害者などが安心して暮らせる地域づくりを目指します。併せて、社会福祉協議会など福祉関連団体に補助を行い、地域福祉の推進を目的とした福祉サービスの充実を図るとともに、ハード面では旧坪田保育園の耐震改修工事、坪田福祉会館のトイレ改修を行うことで施設の有効活用を図ってまいります。

また「健康づくりへの支援」として母子保健事業、健康増進事業による健康診断や各種がん検診、歯科保健事業を行い、健康づくりや生活習慣病の予防を図り医療費を抑制するとともに、国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療制度に繰出しを行い制度の安定運営に努めてまいります。
更に中央診療所の人工透析や専門診療、訪問診療などを引き続き実施するとともに、医療環境の整備やスタッフの確保など、一次医療機関としての充実を図ってまいります。

第4に「快適な暮らしづくり」の「道路の整備」として各路線の舗装・安全施設の維持管理をはじめ、老朽化したインフラの長寿命化のための橋梁点検委託を実施するとともに、村道「伊豆海岸線」、「二島8号線」、「山の平線」「阿古幹線」の改修を行ってまいります。また村道「釜方1号線」の海岸部保護整備を行ってまいります。

次に「快適な居住環境づくり」として村営住宅の防水、外壁の改修工事や内装張り替え・床改修工事等を行い長寿命化を図ってまいります。
次に「快適な生活環境づくり」として、ごみ・し尿の収集、クリーンセンター改修工事、同センター及び汚泥再生処理センターの管理運営を行い、廃棄物の適正処理を図るとともに、引き続き合併処理浄化槽設置補助を実施し、生活排水対策を推進いたします。

また、老朽化した配水管の計画的な布設替え、水道施設フェンス整備など水道施設の効率的な管理を図りながら、安定した給水体制を確保します。その他、飼い主のいない猫への不妊去勢手術を行う団体への補助も新たに実施し、快適な生活環境づくりを進めてまいります。

さらに火葬場については、施設の適正管理に努めるとともに、新火葬場の平成31年度の供用開始に向け、建設計画を推進してまいります。
次に「情報基盤の整備」として、IP告知端末の新たな利活用の推進を図るとともに、引き続き島内公共施設にWi-Fi(ワイファイ)フリースポットを順次整備するなど、災害時の情報通信機能の確保や観光客などへの情報通信サービスを提供いたします。

第5に「災害に強い島づくり」の「防災体制の構築」として、二酸化硫黄濃度常時観測などの火山ガス対策を引き続き行うとともに、台風や噴火災害等の襲来に備え三宅島活動火山対策避難施設の適正管理を図ってまいります。
また、引き続き防災行政無線の適正な管理を行うと共に、防災行政無線子局の鋼管材建て替えやスピーカー等機器の更改を実施し、住民等への情報周知を図るほか、非常用飲料水・非常食購入等災害備蓄品の計画的な整備、避難計画の策定も進めてまいります。
その他、観光資源調査の一環として、雄山周辺における二酸化硫黄濃度の測定も継続して実施いたします。

さらに消防団の錬度と意識の更なる向上を図るとともに、坪田分団の小型動力ポンプ付積載車更新、防火水槽などの消防施設周辺の環境整備や小型動力ポンプ整備などにより、今後想定される東南海地震や元禄型関東地震への備えとして、防災力の向上に努めてまいります。

第6に「自然と共生した産業基盤づくり」の「地域特性を生かした農林業の振興」として、明日葉乾燥加工工場整備補助や認定農業者補助、青年就農者補助など農業者に対する各種補助を行うとともに、農産物PR、三宅島産業祭、笠地貯水池管理省力化施設整備事業による管理道路の整備、八重間ストックマネジメント事業による坪田農業用水機能診断、農道薄木線改修事業などを実施し、三宅島農業の振興を図ってまいります。また、緑化プロジェクト支援事業を引き続き行い被災した森林の再生に努めてまいります。

次に「地域特性を生かした水産業の振興」として、定置網新規設置調査、定置網用4トンユニック整備や阿古荷捌き施設新設工事、サザエやとこぶし放流事業などにより、三宅島漁業の振興を図ってまいります。

また、高齢化の進む農漁業者の後継者対策として、農地リフレッシュ再生事業や漁船リース事業などを実施するほか、引き続き後継者育成事業を実施し、農漁業への就業希望者を短期・長期研修という形で島内へ受入れ、担い手の確保を行ってまいります。
次に「地域特性を生かした観光業の振興」として、オートバイレース、サイクルイベント、観光協会補助、海水浴場運営などを実施してまいります。また、火山観光の一層の推進を図るため東京都が整備を進めている遊歩道を有効に活用し、安全に配慮しながら今後は火口周辺への一部立ち入りができるよう東京都の支援を得ながら取り組んでまいります。

そして、ふるさと体験ビレッジなど観光施設の適切な維持管理を引き続き行うとともに、観光振興施設整備事業として新たに源泉の掘削工事を行うなど、現在のふるさとの湯の施設の充実を図り、観光客の利用率及び利便性向上に努めてまいります。
また昨年は東京都に対し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会におけるスポーツクライミング競技事前キャンプ誘致について要望を行いました。これにあわせて村も独自の誘致活動に努めるとともに、レクリエーションセンターの運営管理についても一層強化を行い、利用率及び利便性向上を図ってまいります。

さらに、火山観光の推進とともに、「火山との共生」をキーワードに、各団体とも連携を行い、三宅島の特性を生かしたジオパーク活動も推進してまいります。

次に「地域に根差した商工業の振興」として、島の商工業振興の中核を担う商工会、マリンスコーレ21への補助、中小企業利子補給など島内商工業への支援を実施いたします。

第7に「島づくりの推進のために」の「行政の健全運営と職員の資質向上」として、人事評価制度の本格的な導入や行政改革を引き続き実施するとともに、職員の自主性や発想力、提案力の向上を目標とした視察研修を実施するなど、今後の三宅村を支えていく職員の育成に取り組んでまいります。また、臨時庁舎の維持管理及び改修工事を行ってまいります。

次に「財政の健全運営」として、財政運営の充実強化を図るとともに、引き続き滞納整理の取り組み強化による未収債権の確保に努め、徴収率を向上させて財政基盤の充実を図ってまいります。歳出面では人件費・物件費、補助費などの経常的な経費はもとより、投資的事業についても機能品質を維持しつつコスト縮減に努めてまいります。また、各特別会計についても独立採算の原則に則り、一般会計からの繰入金を縮小するよう努めてまいります。

その他、昨年度に引き続き、ふれあい交流事業を実施し、都市住民との交流事業を推進するととともに、むらおこし推進事業において、昨年より導入しました地域おこし協力隊と連携しながら島暮らし情報の魅力の発信や約1週間の島暮らし体験事業の複数回の実施、中長期滞在可能な施設の整備などを行い、移住・定住人口の増加に向けて事業を進めてまいります。

さらに、将来を担う若者による「三宅島むらおこし推進委員会」の活動を通じて、本村の現状を踏まえた課題などに対し様々な取り組みを行ってまいります。

以上、私が目指すところの行政課題に対する対応と主要施策です。
冒頭にも申し上げました「あなた(ワレ)が笑顔で暮らす島」の実現を目指し、最少の予算で最高のサービスが実施できるよう職員一丸となって取り組んでまいります。

平成29年度の予算は一般会計予算が39億6816万9千円、国民健康保険(事業勘定)特別会計が6億5374万円、国民健康保険(直営診療施設勘定)特別会計が3億8068万1千円、介護保険(保険事業勘定)特別会計が3億4214万7千円、簡易水道特別会計が2億6043万5千円、後期高齢者医療特別会計が8367万4千円、旅客自動車運送事業会計が1億1652万2千円となり、7会計合わせて58億536万8千円となっております。

しかし、これらの事業を確実に実施していくためには、国や都の補助事業を積極的に活用することは勿論のこと、自主財源の安定確保が必要不可欠です。三宅村は個人住民税の徴収率向上の努力を評価され、2年連続東京都より感謝状を贈呈されましたが、新年度においても村税、使用料、貸付金などの自主財源の確保について引き続き努めてまいります。

最後となりましたが、これからの三宅島の復興・振興は行政のみで成し得るものではなく、議員の皆様、村民の皆様との強い連携が必要不可欠となります。議員各位をはじめ、村民の皆様の変わらぬご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針といたします。

お問い合わせ

三宅村役場臨時庁舎
〒100-1212 東京都三宅島三宅村阿古497
TEL:04994-5-0981(代表)